粉引・焼き締めで作られた美しい表情を浮かべる土の器|奈良・旧都祁村|薮本寛之さん

-藤井

器との出会い、なぜ陶芸を始められたかというところを教えてください。

 

-薮本

陶芸と出会ったのは、大学に入学して、陶芸部というサークルに勧誘されて、初めて体験で作らせてもらったのがきっかけです。

 

-藤井

その時って、初めて陶芸やるわけですけど、例えばご自宅でやったことあったとか、そういうのはあるんですか?

 

-薮本

いや、ほぼないです。

 

-藤井

そのときが初めて?

 

-薮本

厳密に言えば初めてではないんですけど、ちゃんと自分で意識してやったのは初めてです。

 

-藤井

のめり込んでいったきっかけとかってあったんですか?

 

-薮本

自然とのめり込んでいました。もう大学のときは、それしかやることがなかったんです。

 

-藤井

今の作風はこういった器ですけど、最初に始められたときから、どんな器を作っていて、どういう形で今のところで、できたのか簡単に教えてください。

 

-薮本

大学時代はキセトや唐津焼やトルコブルーなど、今とは全然違う伝統的な焼き物を主に作ったりしていたんですけれども、徐々に自分らしさが出ていったという感じです。最初はもう好き勝手に作っていました。

 

-藤井

大学卒業されてからのキャリアについて聞きたいんですけど、独立っていう形になるのか、それとも修行に何年か行かれたのか、学校に行かれてからみたいな、今の状態に至るまでのお仕事の感じはどういうふうに進んでいったんですか?

 

-薮本

卒業してバイトをしながら、なんとなく実家で制作するようになって、イベントとかに焼けたものを持っていって少しずつお店から取引の話があって、今に至っています。

 

-藤井

そういう意味では、どこかで何か2年間勉強して専門学校出てからやったとかって全くそんなのもなくて、誰か師匠がいたというわけでもないんですか?

 

-薮本

そうですね

 

-藤井

例えば、師匠はこの人だなってあげるなら、この人っていうのはありますか?

 

-薮本

全くないです。卒業してから独立するまでの話はあんまり使って欲しくないから多分あんまり面白くない。制作してそれがお金になって、それで食べていったぐらいでいいかな。

もう完全独学に近い

 

-藤井

瞬く間にそういう人気作家でいらっしゃると思うんですけど

 

-薮本

全然もう下積みですよ、最初は。

 

-藤井

そのときの話とか

 

-薮本

作り始めて焼けた器をどこで販売していいかわからないんで、とりあえず●●(3:44)とかクラフトフェアに持っていって、販売しているわけですけど、売上ゼロのときもあったし、そこそこ売れたときもあったりで、結構最初は自転車操業な感じでした。

 

-藤井

買ってもらうお客さんに、こんなところがいいねだったり、すごく興味を持ってもらうポイントとかってあります?

 

-薮本

あんまり考えたことはないんですけど

 

-藤井

がーっと売れるようになったきっかけとかあるのかなと思ったんですけど、ちょっとデザインをこういうふうに変えたらすごく受けが良くて、とんとん拍子に例えばギャラリーが広がったとか、本当に徐々にという感じですか?

 

-薮本

もう徐々にです。

 

-藤井

そういう意味で言うと本当に今のところは、独立されて何年くらいですか?

 

-薮本

13年ぐらいです。

 

-藤井

本当にちょっとずつファンの方が増えていって

 

-薮本

そうですね。最初はイベントばっかり出ていて、徐々にお店の取引が増えて、個展が最近は増えてきています。どんどん自由に作らせてもらっている感じです。

 

-藤井

あとは、この器の特徴みたいなところを聞いていきたいんですけど、薮本さんの器の特徴を挙げるなら、どういうところですか?

 

-薮本

素材感で素材の良さとか、自然の素材で、できるだけそのまま土とか、与薬の灰とか、その辺の素材はかなりこだわっていると思います。焼き方も

 

-藤井

バリエーションで言うと、器はどういうところから始められて、今はラインナップが広がってきたみたいなのはありますか?

 

-薮本

携帯器のラインナップとしては、そんなに変わってないです。最初からマグカップを作ることが多かったし、あとは皿や鉢を作ることが普段は多いですけ。

模様がどんどん増えてきてる。

 

-藤井

あとは今、奈良で作陶されていますけど、ここで作るきっかけみたいなところを教えていただけますか?

 

-薮本

元々育った場所ですし、田舎なので、のどかで作りやすいです。こういう自然な感じのシンプルな面というか、シンプルじゃないですね。

 

-藤井

そういう意味では特別ここにこだわってやってるっていうよりも、やっぱりその実家であるということと、窯があるっていうことだから、ここでやるのが一番かなっていう感じですか?

 

逆に言うと、窯元と呼ばれるように街もたくさんあって、そういうところでやられる方もいらっしゃったりするじゃないですか。何かこの町はこんなところがあってやりやすいなとか、何かそういうのがあります?

 

-薮本

慣れ親しんだ環境で作るのがやりやすいです。特に焼き物産地でやりたいとかはないです。

 

-藤井

最後に陶芸をやっていて楽しいなって思う瞬間とか、例えばお客さんが褒めてくれるとかもあると思うんですけど、やりがいだったり、こういうのが楽しいなと思う瞬間ってどんなのがありますか?

 

-薮本

基本的にずっと楽しいですけど、ろくろを引いているときは気持ちいいです。窯出しのときとかワクワクします。結構、常に楽しんでやってると思います

 

あんまり考えたことないんです。

 

-藤井

でも本当に黙々とやられてるって感じなんですね。

 

-薮本

あんまり、自分の器に対しての思いとか、そういったことをあんまり普段考えてないかもしれないです。好き勝手に、その時に作ったのを作ってるだけなんで、結構自分勝手なんです

 

-藤井

でも、それでいいんじゃないですか?

 

-薮本

そうですね。あんまり流行とかを追っちゃうと、みんな似てきちゃうんで、自分自身を深く掘って、追求していくということです。