渡辺 信史
鎌倉で紡ぐ“静謐な和の器”
神奈川県鎌倉市・北鎌倉の山間に工房「陶工房 扇屋」を構える渡辺信史さんは、武蔵野美術大学で陶芸を学び、2006年から鎌倉で作陶を開始。千葉のご実家が営まれていた金物店の屋号「扇屋」を継承し、自らの暮らしと工房を結ぶ場として制作を続けています。
自然釉・灰釉・山葵釉・黒釉などを素材に使い、炭化焼成や透かし彫り、ロウ抜きなど複数の技法を重ねることで、淡黄色に貫入が入る釉調や、わさび色の優しい緑、金属的な黒艶の独特な風合いを器に宿します。特に灰釉作品の淡い表情や模様は品格があり、料理を引き立てる品としても評価されています。
渡辺さんは「うつわは料理をより美味しく見せる食卓の空気をつくる大事な存在」という信念のもと、日常使いに寄り添う一方で特別な日にふさわしい佇まいも兼ね備えた美しい器を追求しています。
作品からは、鎌倉の自然と穏やかな暮らし、そして手仕事の誠実さが伝わり、静かに強い美意識を感じさせてくれます。
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